昔むかーしに

tanteitsuchiya2005-04-30


 「世に盗人の種はつきまじ」

なんてどっかの大泥棒が釜の中で言ってましたが、

石田純一さんあたりに

 「世に浮気の種はつきまじ」

と豪華なWベットの中で言ってほしいところです。

それぐらいこの探偵業界、浮気調査の依頼が多い。
逆にいえばそれだけ「浮気疑惑」のある人が多い、ということでしょうか。

たしかに一言で「浮気調査」といったところで各人の状況は異なります。

相手が分かっていて証拠写真だけ欲しい人もいれば、
相手を突き止めて慰謝料をもぎ取りたい!とか、
別れさせてギャフンと言わせてやりたい!など…。

ただ直感的に怪しいから…という人もいます。

いずれにしてもやはり何らかの不審なアクションがあるわけで…。
そしてそれは氷山の一角とも言えます。

この前、そんなことをしみじみと感じさせられることがありました。

舞台は都市部からちょっと離れたとある住宅地。
ご主人からの浮気調査の依頼で、出勤後の奥さんの素行調査を行うため、
自宅から少し離れた所に車を停め、先輩と二人で張り込んでいました。

辺りは新興住宅地らしく、畑や空き地がところどころに散在しています。

そんなナンノ変哲もない住宅脇の道路に車が来ては路上駐車していくのです。
気付くと駐車車両が鈴なりになってます。

付近の住民はたいてい車庫を持っているのに、なぜこんなところにみんな停めるのか?
どうもナンバーからしてこの近辺じゃない車両も結構多い。


  車内で張り込む名探偵と迷探偵。

 推理合戦の始まりです。
 (先輩と土谷、どっちがどっちか分かりますよね(泣笑))

推理の基本は観察力!

ということで、よーく目を凝らして見ているといくつか法則があることに気付きました。

一、まずみんな一人乗りであること。
一、ドライバーの性別は男女半々。
一、1台で来る時もあれば、明らかに連れと分かる2台で来る時もある。
一、1台で来た時は、ドライバーは降りずに携帯で話していることが多い。
一、そしてもう1台が来るとそちらに乗り換える。
一、2台で来た時は1台を乗り捨て、もう1台に乗り込む。
一、必ず男女ペアになって移動する。
一、結構年配の男性と若い女性という組み合わせが多い。

皆さんはもうお分かりですよね。

先輩もニヤニヤ笑いながら、

 「お前、まだわかんないの? なぁ? なぁって?」

って、わき腹を突付いてきます。

 「うぅ、そこは弱いんですぅ。」

なんてアホなことを言いながら、人力CPUフル回転です。

高速のSAなんかで高速料金やガス代がもったいないからって、
何台かで来て、1台にみんなが乗り込むなんて風景はありますが、
そういった類いにしては必ず男女ペアというのが解せない。

そうこうしているうちに戻ってくる車が…。
ここにも当然のごとく法則があります。

一、戻ってきては乗り捨てた1台に乗り込み、仲良く2台で発進。
一、意味深な男女二人は意味深な目配せを交わす。

やっと気付いた土谷。

  この二人出来てる!

  間違いなく出来てるぜぃ ブラザー!!


 「おせーよっ!(コツッ)。」
 「イテテ。」


謎解きの鍵は程近くにあるオシャレなラブホテルにあったのです。

 ここで車を1台にしてラブホテルへ行く。
 休憩時間に運動した後に、またここに戻ってくる。
 そして仲良く去ってゆく…。

ラブホテルに近すぎず遠すぎずの好立地条件に恵まれたこの場所は
怪しいカップル達の共有駐車スペースだったのです。

ホテルのカメラに車のナンバーを写されないためなのか、
ホテルの駐車場を効率よく利用するための地域ルールなのか、
はたまた何事もゆずり合う謙譲の精神のたまものなのか・・・。

しかもみんなかなり不倫臭が漂います。

(ひょっとして我々のターゲットも・・・)
(近すぎるだろ!いくらなんでも!!)

自ボケ自ツッコミしたので、突付かれずに済みましたが、
この迷惑駐車たちがいい具合に我々の車両のカモフラージュとなりました。

無事に謎解き(?)も済んだところで、
奥さんが軽自動車に乗り込む様子が見えました。

 「さて、行くか。」
 「アイアイサー。」

後部座席から狭い車内を移動し、運転席と助手席へ。
シートベルトを締め、いざ追尾開始です。

それにしても・・・。

浮気調査中に浮気現場テンコ盛りを見て、
お腹一杯の1日でした。